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  1. 山口県議会 2022-09-01
    10月03日-06号


    取得元: 山口県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-15
    令和 4年 9月定例会   令和四年九月山口県議会定例会会議録 第六号      令和四年十月三日(月曜日)  ────────────────────        議事日程 第六号      令和四年十月三日(月曜日)午前十時開議  第一 一般質問  第二 議案第一号から第十九号まで(質疑・議案第十九号採決)  第三 意見書案第一号から第三号まで  ────────────────────        本日の会議に付した事件  日程第二 議案第一号から第十九号まで  日程第三 意見書案第一号から第三号まで                会議に出席した議員(四十七人)                          塩   満   久   雄 君                          林       哲   也 君                          木 佐 木   大   助 君                          先   城   憲   尚 君                          友   田       有 君                          髙   瀬   利   也 君                          酒   本   哲   也 君                          平   岡       望 君                          西   本   健 治 郎 君                          二   木   健   治 君                          宮   本   輝   男 君                          藤   本   一   規 君                          高   井   智   子さん                          猶   野       克 君                          藤   生   通   陽 君                          合   志   栄   一 君                          小 田 村   克   彦 君                          曽   田       聡 君                          俵   田   祐   児 君                          吉   田   充   宏 君                          新   谷   和   彦 君                          岡       生   子 君                          島   田   教   明 君                          石   丸   典   子さん                          井   上       剛 君                          松   浦   多   紋 君                          守   田   宗   治 君                          森   繁   哲   也 君                          槙   本   利   光 君                          井   原   寿 加 子さん                          橋   本   尚   理 君                          山   手   康   弘 君                          畑   原   勇   太 君                          磯   部   登 志 恵さん                          河   野       亨 君                          笠   本   俊   也 君                          有   近   眞 知 子さん                          森   中   克   彦 君                          友   広       巌 君                          戸   倉   多 香 子さん                          上   岡   康   彦 君                          新   造   健 次 郎 君                          坂   本   心   次 君                          中   嶋   光   雄 君                          江   本   郁   夫 君                          柳   居   俊   学 君                          国   本   卓   也 君                会議に欠席した議員(なし)                議案等の説明のため会議に出席した者                    知事          村 岡 嗣 政 君                    副知事         平 屋 隆 之 君                    総務部長        内 海 隆 明 君                    総務部理事       近 藤 和 彦 君                    総合企画部長      松 岡 正 憲 君                    産業戦略部長      前 田 安 典 君                    環境生活部長      藤 田 昭 弘 君                    健康福祉部長      弘 田 隆 彦 君                    商工労働部長      小 関 浩 幸 君                    商工労働部理事     三 浦 健 治 君                    観光スポーツ文化部長  三 坂 啓 司 君                    農林水産部長      高 橋 博 史 君                    土木建築部長      和 田   卓 君                    会計管理局長      京牟礼 英 二 君                    財政課長        安 藤 公 浩 君                    公営企業管理者     正 司 尚 義 君                    企業局長        今 村 政 裕 君                    教育長         繁 吉 健 志 君                    副教育長        木 村 香 織 君                    公安委員長       弘 田   公 君                    警察本部長       中 西   章 君                    監査委員事務局長    本 多 昭 洋 君                    労働委員会事務局長   松 田 一 宏 君                    人事委員会事務局長   大 田 淳 夫 君                会議に出席した事務局職員                    事務局長        國 吉 宏 和 君                    事務局次長       原 田 和 生 君                    総務課長        嶋 田 英一郎 君                    議事調査課長      岡 本 正 敏 君                    政務企画室長      國 弘 敏 和 君                    秘書室長        植 木 啓一郎 君                    議事調査課主幹     作 本 真 得 君                    主査兼議事記録係長   益 本 悟 史 君                    主任          河 村 美也子さん                    主任          賀 山 智 江さん                    主事          佐 伯 和 樹 君   ─────────────    午前十時開議 ○議長(柳居俊学君) おはようございます。これより本日の会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第十九号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 国本卓也君。    〔国本卓也君登壇〕(拍手) ◆(国本卓也君) 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。 先週、故安倍元総理の国葬が、国内外から参列された多くの方々と、献花に訪れられた多くの方々に見守られる中、恭しく執り行われました。万全の警護が求められる中で、関係する全ての方の御尽力により、無事に安倍元総理をお見送りすることができたことに、心から安堵しております。 六回の国政選挙で、国民の信任を得ながら、また、憲政史上最長の通算八年八か月にわたって、内閣総理大臣を務められた、その類いまれなるリーダーシップと実行力は、我が国、そして、山口県の未来にとってなくてはならないものでありました。 改めまして、安倍元総理の偉大なる御功績に深い敬意を表しますとともに、安らかな御永眠をお祈り申し上げ、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、食料安全保障の基本となる農地の整備についてお尋ねをいたします。 私たちの身の回りで、物やサービスの値上げが相次いでいます。 民間の信用調査会社帝国データバンクは、九月一日に、上場する国内の飲料・食品メーカー百五社の値上げ調査結果を公表いたしました。 この調査結果によると、二○二二年一月から八月末までに、累計で二万五十六品目が値上げとなり、平均の値上げ率は一四%となっています。 その後も九月には二千四百二十四品目、十月には六千五百三十二品目の値上げが予定されており、値上の動きは今後も続く見込みと指摘しています。 こうした中、九月九日に、国の、食料安定供給農林水産業基盤強化本部が開催され、今後一年をかけて、食料・農業・農村基本法の改正に取り組むこととされました。 全ての農政の根幹であるこの法律の改正は、世界の社会経済情勢、気候変動、国内の農家や農地の減少など、食料安全保障の重要性が一層増す中で、刻々と変化する国内外の状況への対応が求められていることを受けて、検討が開始されるものであります。 我が国の食料安全保障は、国内の農業生産の増大を基本として、これに輸入と備蓄とを適切に組み合わせることが基本理念となっています。 一定の輸入に頼らざるを得ないことは、現実的に考えてやむを得ませんが、輸入が縮小、または途絶したときには、農地などの農業生産資源だけが頼りであります。 ロシアのウクライナ侵略の影響により、今後も世界的な規模で、深刻な食料不足や食料価格の高騰が続くことが懸念されています。 輸入が断たれ、海外から食料が手に入らない事態は、もはやあり得ないことではなく、それに備えたリスク対策をさらに強化し、新たな時代の食料安全保障を確立していかなければなりません。 本県においても、農業生産の増大を図るため、今ある農地を優良な農地として整備し、フルに有効活用して、必要な食料を可能な限り確保できる状況をつくり出していく必要があります。 私は、このピンチとも言える状況は、農業を魅力ある産業として成長させ、美しい農村を次世代に引き継いでいくチャンスであり、極めて重要な時を迎えていると考えています。 そこでお尋ねいたします。食料安全保障の基本となる農地の整備について、今後どのような姿勢で臨まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高齢化が進む集落営農法人の今後の方向性についてお尋ねをいたします。 一昨年、本県の水稲栽培は、ウンカにより壊滅的なダメージを受けたものの、県をはじめ、市町やJA等が連携した経営支援や技術的なサポートにより、その後も、面積を大幅に減らすことなく作付が行われています。 一方、地域を回り、農家の皆さんの声を聞いていると、これからの農業経営の継続に大きな不安を持っておられることを痛切に感じています。 その不安の要因の一つに、地域の農業者の高齢化があります。もちろん、本県農業の高齢化は、ここ数年の課題ではなく、以前から指摘されている大きな課題です。 このため、県では、農業経営の基盤である圃場整備や水田の高機能化に合わせ、家族単位ではなく、地域単位農業経営を展開する集落営農法人の育成を進め、さらに、次代を担う若者たちの就業やドローンをはじめとしたスマート農業機械の導入が可能となるよう、集落営農法人を広域化する法人連合体の形成を積極的に進めてこられました。 その結果、本県における農業経営体平均経営規模は大幅に拡大し、毎年百名を超える新規就業者の約半数が法人に就業するという、よい流れが生まれつつあります。 一方で、こうした流れは、幼少時代から農作業を経験してきた世代が定年を迎えた後、地元に戻って農業法人の経営に参画することで成り立っているという背景があります。 しかしながら、我が国全体の高齢化が進み、定年延長などの動きもある中で、定年後に地元に戻る人が減少し、法人構成員の世代交代がなかなか進まない状況になっています。 さらに、水稲などの土地利用型作物を主体とする農業経営においては、草刈りや水回りなどの管理作業を、農業経営に携わる法人構成員だけではなく、地域の高齢者にも担ってもらっているのが実情であり、高齢を理由に、こうした農作業からリタイアされる方も増えているのです。 こうした状況が続けば、これまで本県農業を支えてきた集落営農法人の機能が低下し、経営面積の縮小を余儀なくされ、本県農業の衰退につながりかねません。 私は、地域の農業者が、高齢になりながらも、次の世代に農地や技術ノウハウをつなぐために踏ん張ってくださっている今こそ、県として、集落営農法人の今後の方向性をしっかりと示す必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。高齢化が進む中においても、本県農業の中核を担う集落営農法人が継続して安定した経営が可能となるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、瀬戸内海漁業振興についてお尋ねをいたします。 本県の漁業産出額は、年々減少しているものの、直近では約百四十億円と、半島や離島などを有する地域においては、若者たちが活躍できる重要な産業の一つになっています。 私の地元である熊毛郡においても、瀬戸内海の多様な水産資源を生かしながら、若者たち新規漁業就業者、いわゆるニューフィッシャーとして定着し、活躍しています。 特に、田布施地域では、平成十一年以降、これまで八名のニューフィッシャーを受け入れられていますが、そのほとんどが県外からのIターン組であります。 初めての土地で、慣れない仕事に従事しながら暮らすことは、若者たちにとって、思い描いていた夢の実現であると同時に、生活面での不安が大きいことは容易に想像できます。 そうした中で、田布施地域に多くのニューフィッシャーが定着しているのは、若者たち本人の努力はもちろんですが、彼らをサポートする県漁協の職員をはじめ、地域の漁業者や関係者の心の籠もった対応の結果であると考えています。 田布施には、新鮮な鮮魚や加工品を直接消費者に販売する昼市を運営している、新鮮田布施というグループがあります。 このグループは、全国青年・女性漁業者交流大会農林水産大臣賞水産振興功労者表彰を受賞するなど、数多くの賞を受賞していますが、その理由は、ニューフィッシャーとして移住した若年就業者ベテラン漁業者たちが一体となって、地元で漁獲される低価格魚や未利用魚を一次加工し、付加価値の向上を図った上で、地元の消費者に直接販売することで、大幅に収益を向上させていることにあります。 若者たちを受け入れ、活動を共にすることで、高齢化の進みつつあった地域の漁業が活性化しているのであります。 しかし、こうした取組が評価されているのも、安定した漁獲があるからこそであります。 瀬戸内海の漁業は、日本海側に比べて経営規模は小さいものの、数多くの島々が点在し、岩礁域に富んでいることから、各種魚介類の繁殖に適しており、様々な漁法によって数多くの種類の魚が漁獲できるという特徴があります。 しかし、閉鎖系の海域であることから、現在では、水がきれいになり過ぎたことによる水産資源の減少なども指摘されており、漁業関係者の努力だけでは対応が難しい実態もあります。 県では、これまで、瀬戸内海水産資源の確保に向けた様々な取組をされており、高く評価しているところでありますが、私は、瀬戸内海の漁業をさらに活性化させるためには、多様な魚種が安定して漁獲できる環境を維持・整備する取組を加速していくことが重要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。瀬戸内海の漁業のさらなる振興に向け、瀬戸内海資源管理や魚礁の整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化についてお尋ねをいたします。 近年の中小企業政策の最重要課題は、何といっても、コロナ禍を乗り越えるための事業継続支援であります。中小企業の皆さんは、幾度となく押し寄せる感染拡大の波に翻弄されながらも、歯を食いしばって耐え忍び、必死に事業を継続されています。 そして、ようやくウイズコロナの時代が近づいてくるのかと思った矢先に起こったのが、ロシアによるウクライナ侵略の影響などに伴う、海外需要の減少、急激な円安、エネルギー・原材料価格の高騰であります。 加えて、中国でのロックダウンによるサプライチェーンの崩壊は、中小企業のみならず、大企業をも巻き込み、大きな影響を及ぼしています。 部品不足から家電製品が品薄となった光景も記憶に新しく、また、新車を注文しても、いつ納車されるのか、見通しさえ立たず、新車価格中古車価格の逆転現象さえ起こっているという話も耳にいたします。 さらに、毎年の賃金引上げは、従業員の方にとってはよいことでありますが、価格転嫁に悪戦苦闘しておられる中小企業の経営にとっては、その影響がボディーブローのように効いてきています。 そして、今後、中小企業を待ち受けているのがカーボンニュートラルであります。 中小企業温室効果ガス排出量は一・二億トンから二・五億トンと推計されており、日本全体の温室効果ガス排出量の一割から二割弱を占めるそうであります。 近年、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指すグローバル大企業が増加し、既に一部の企業は、海外の取引先から脱炭素化の方針への準拠を求められているとのことであります。 また、金融機関でも、融資先に対して、温室効果ガス排出量の開示を求めたり、石炭等の化石燃料への供給資金を引き上げる動きがあり、現に、石炭の調達価格は、数年前の三倍近くに上昇しているともお聞きしています。 「脱炭素化の取組を進めるという政策に反対するつもりはないが、我々中小企業にとって最優先なのは、いかにして自社製品を売上げにつないでいくかだ」これは、私が近況をお聞きするため、地元企業を訪問する中でお聞きした言葉であります。中小企業の立場での率直な思いを吐露されたものだと感じております。 そもそも、財務基盤が脆弱な中小企業の多くは、人材、情報などの面で一定の制約があると同時に、いざ脱炭素化に取りかかろうにも、これまでの省エネならいざ知らず、脱炭素化の取組が直接、新たな付加価値を生み出すことはまれであり、コストを価格に転嫁することが難しい状況では、二の足を踏んでしまっているというのが実態であります。 カーボンニュートラルへの対応がいずれ必要になると感じつつも、中小企業の多くは、日々の経営に追われ、自ら進んで具体的な方策を検討できるような状況にはなく、行政がきめ細かく支援していくことが不可欠だと考えております。 そこでお尋ねいたします。脱炭素化という世界的な潮流の中、今後、中小企業は、取引先から、組織や製品単位での温室効果ガス排出量の削減を求められていくと考えていますが、脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、デジタル社会を支えるインフラ整備についてお尋ねをいたします。 デジタル技術は、人口減少や過疎化、産業の空洞化など、地方の社会課題を解決する鍵であり、新しい価値を生み出す源泉であります。また、農林水産業の振興や産業力の強化、地域再生や安心・安全の確保などの政策においても、デジタル技術の活用は大変有効であり、県でも、知事が先頭に立ち、デジタルを活用した取組を積極的に展開されています。 そうした取組の一つとして、県が、町村会や民間事業者と協定を結び、高齢者など、聴力が弱い方との意思疎通を支援する、窓口相談支援システムの実証を進められていると伺っています。 今後、県内全六町での導入に向け、各役場の窓口で実証を進められるとのことであり、特に、私の地元のように高齢化が進む地域においては、大変意義のある、効果的なサービスになると思いますので、本格運用と、さらなる横展開に期待をしております。 こうしたデジタルを生かした取組を県内各地で進めていくためには、その前提となる、デジタルインフラの整備が不可欠であります。政府が掲げるデジタル田園都市国家構想においても、デジタル基盤の整備を重要な柱に位置づけており、この核となる光ファイバーについては、二○二七年度末までに世帯カバー率を九九・九%とする目標が示されています。 このような中、県では、やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)の今後の在り方が検討されています。YSNは、平成十三年の運用開始以来、光ファイバーの基幹網として、ケーブルテレビ事業者や大学、病院など、幅広い分野と、中山間地域をはじめとする県内各地域で活用されてきており、これまで多くの県民の暮らしや事業者の活動を支えてきました。 私は、県内どの地域も取り残すことなくデジタル化を進めていくためには、YSNという貴重な財産を今後も有効に活用するとともに、国や市町、関係事業者等と連携して、光ファイバーなどが必要な地域の整備を着実に進めていただきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。やまぐちデジタル改革を推進していく上でも重要となる、光ファイバーなどのデジタル社会をつくり支えるインフラ整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、農業高校の在り方についてお尋ねをいたします。 農業教育は、言うまでもなく、人間が生きていく上で必要な食料の生産や供給等を担う農業や、その関連産業を支える職業人を育成する重要な産業教育の一つであります。 農業教育活動の中心の場として、農業高校は、これまで大きな役割を果たしてきましたが、農業者の高齢化や農地面積の減少など、農業を取り巻く環境の変化に加え、少子化による中学校卒業生の減少や進学ニーズの変化などを背景に、全国的にも、また山口県においても、農業高校の減少が続いている状況であります。 本県では、今から十五年前には、農業学科を有する高校が七校ありましたが、現在は、山口農業高校、大津緑洋高校、田布施農工高校の三校となっています。 私の地元にある田布施農工高校は、県東部地域で唯一、農業を学べる高校ですが、平成二十二年に田布施農業高校と田布施工業高校が再編統合され、現在に至っており、一学年で農業学科が三学級、工業学科が一学級で、一学年四学級の規模を維持していますが、少子化等による学校規模の縮小が懸念されています。 こうした中、農業高校においては、従来から、地域農業と密接に関わりながら、地域の課題や文化などを踏まえた特色ある教育活動が進められてきました。 田布施農工高校では、伝統的な取組として、昭和三十一年に、熊毛杜氏の養成と蔵人の育成のために醸造科が誕生して以来、酒造りが伝統として受け継がれており、清酒製造の技術を学べる数少ない高校の一つとなっています。 また、近年では、地域との協働による教育活動を深化させるため、田布施町と連携・協働に関する協定を締結するとともに、コミュニティ・スクールの仕組みを発展させ、学校や町をはじめ、地域の農業法人、企業や団体、教育関係等が参画するコンソーシアムを構築し、農林水産業の担い手の確保と育成などの地域課題の解決を図る探求的な学びの取組も進められているところであります。 こうした地域との協働による教育活動は、地域とのつながりが深い農業高校ならではの特性を生かしたモデルとなる取組と考えており、今後の継続や発展を大いに期待しているところであります。 一方で、デジタル技術などの進展により、農業分野においても、ロボット技術やICTを活用して、省力化・精密化や、高品質生産等の実現を図る新たな農業、いわゆるスマート農業の取組が進みつつあります。 農業高校においても、こうした新しい時代の農業の担い手の育成を目指した、より専門性の高い教育活動の充実が求められるとともに、スマート農業の進展により、若者の農業に対する興味・関心や、学習ニーズの高まりが期待されるなど、今後、高校における農業教育はますます重要になってくるものと考えております。 そこでお尋ねいたします。県教育委員会では、昨年度末に、本県高校改革の指針となる第三期県立高校将来構想を策定され、今後、特色ある学校づくりに向けた具体的な取組が進められるものと考えていますが、本県における農業高校の在り方や方向性について、どのように考え、農業教育の充実に取り組んでいかれようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、一言申し上げます。 このたび、上関町の柏原重海町長が町長の職を辞されました。平成十五年の町長就任以来、原子力発電所建設計画を抱える上関町のリーダーとして、町を率いてこられた柏原町長には、そのリーダーシップで、今後も上関町の発展に尽くしていただけるものと考えていただけに、このたびの辞任は大変残念に思っております。 上関町においては、これまで一貫して、原子力発電所立地によるまちづくりを、町政の基本的な考え方として掲げてこられました。そして、県は、そうした上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するという基本姿勢を示されており、私ども自由民主党としても、この基本姿勢を一貫して支持しているところであります。 上関町は、今後、新しいリーダーの下で、未来に向けたまちづくりを続けていくことになりますが、県におかれましては、今後とも上関町の政策選択を尊重し、上関町に寄り添ったまちづくりに力強い御支援を賜りますよう、地元選出の県会議員として、心よりお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 国本議員の御質問のうち、私からは食料安全保障の基本となる農地の整備についてのお尋ねにお答えします。 農産物の安定的な生産体制の確立に向けて、農地の集積や農産物の高付加価値化などを推進し、中核経営体を中心とした次代の担い手が、多様な営農を展開できるように、その基礎となる優良な農地の確保が重要と考えています。 このため、私は、農地整備の推進と集落営農法人等の育成に一体的に取り組んできたところであり、約二万三千四百ヘクタールの区画整理や、約二千百ヘクタールの水田高機能化が実現するとともに、二百九十九の集落営農法人と十四の法人連合体が設立されたところです。 こうした中、社会経済情勢や気候変動、農家や農地の減少などにより、食料安全保障の重要性が一層増しており、国において食料・農業・農村基本法の見直しに向けた検討が開始されています。 こうしたことを踏まえ、私は、本県農業の持続的な発展に向け、農地の生産性をさらに向上させ、有効活用していくための農地整備を、強力に進めていく考えです。 具体的には、効率的な営農展開が図られるよう、意欲ある担い手への農地集積を一層促進し、自動走行農機やICT水管理等、大幅な省力化が期待できるスマート農業の導入に対応する区画整理など、より生産性を高める整備を推進します。 あわせて、これらの農地をフル活用するため、麦、大豆、園芸作物など、市場ニーズに即して様々な品目を組み合わせた営農を容易にする、地下水位制御システムの整備等、水田高機能化に引き続き取り組みます。 また、耕作条件の不利な中山間地域の農地については、地形や地域の実情を踏まえ、農業機械の作業効率を確保した上で、区画の大きさや配置を工夫した整備を行い、リモコン式草刈り機などの導入促進により、維持管理労力の負担軽減を図ります。 こうした農地整備を計画的かつ円滑に推進するためには、土地改良区や農業者を中心とした十分な話合いによる、実効性の高い整備計画づくりが不可欠であることから、市町、土地改良事業団体連合会などと緊密に連携し、地域における合意形成を支援します。 私は、美しい農村を次世代に引き継ぐため、市町や関係団体等と連携し、食料安全保障の基本となる農地の整備を積極的に進め、持続可能な力強い農業の実現に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○議長(柳居俊学君) 高橋農林水産部長。    〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 ◎農林水産部長(高橋博史君) 高齢化が進む中、集落営農法人の今後の方向性についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少・高齢化が進む中、小規模経営が多い本県農業を持続的に発展させるためには、経営規模を拡大し、効率的な経営が行えるよう、集落営農法人や広域で事業を展開する法人連合体を核とした生産構造を構築することが重要です。 このため、県では、これまで、JA等と連携し、集落営農法人等の中核経営体の育成を重点的に推進してきたところであり、これらの法人が雇用の受皿ともなり、地域農業を牽引しています。 こうした中、経営規模のさらなる拡大を志向する法人がある一方で、お示しのとおり、構成員の世代交代が円滑に進まず、今後の経営の継続が困難となる法人も見受けられるようになっています。 こうしたことから、昨年度、JA等と連携し、各法人を対象に、課題や今後の経営意向等に関する調査を実施したところであり、今後、結果の分析を行った上で、その状況に応じた支援の在り方等について検討することとしています。 具体的には、それぞれの意向に沿って、近隣の連合体への参加や法人同士の統合も視野に入れ、市町等と連携し、経営継続に向け、集積した農地の再編などの合意形成を促進します。 また、こうした再編により規模拡大を目指す法人等に対しては、専門家による経営計画の作成指導をはじめ、農業専門の求人サイト、アグポン等による外部人材の確保や、省力化に資するスマート農機の導入など、ソフト・ハード両面から支援してまいります。 加えて、若者の法人就業による世代交代を支援するため、新規就業者の確保・定着を図るとともに、来年度、農業大学校に土地利用学科を新設し、水田複合経営に取り組んでいる法人に参画できる人材の育成を進めます。 県としては、関係団体等と緊密に連携し、高齢化が進む中においても、集落営農法人等が継続して安定した経営が可能となるよう、その育成と経営基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、瀬戸内海漁業振興についてのお尋ねにお答えします。 近年、温暖化などによる魚介類の生息環境の変化等により、瀬戸内海においても漁獲量が減少する中、安定した漁獲を維持するためには、水産資源の維持・増大につながる資源管理や、魚礁などの漁場整備を進めることが重要であると考えています。 こうしたことから、瀬戸内海では、重要魚種であるトラフグなどの休漁期間の設定や小型魚の採捕禁止などの資源管理の取組を進めてきました。 また、付加価値の高いキジハタ等の種苗放流を行い、その生息環境の確保に向けた漁場整備を一体的に進めてきたところです。 こうした中、国は、資源量を科学的に把握し、年間漁獲量の上限などを定める新たな資源管理と、栽培漁業を一体的に進めることとされており、県としても的確に対応することが必要です。 また、栽培漁業と連動した漁場整備については、さらなる資源の増殖に向け、漁業者ニーズを踏まえた、水産生物の良好な生息・生育環境の創出に向けた取組を進めることが重要です。 このため、デジタル技術を活用した科学的な生息量調査を強化し、漁業者の意見も聞きながら、稚魚の成育場を保護区域に設定するなど、実効性のある資源管理を進めていきます。 加えて、海洋環境の変化も踏まえ、種苗放流の効果が最大限発揮されるよう、魚種ごとに最適な放流サイズや時期などを分析・検証し、資源管理と一体的な栽培漁業を推進します。 また、これまでの漁場整備の取組を進めるとともに、利用実態やニーズを把握し、新規魚種を対象とする魚礁の整備などを盛り込んだ、新たな漁場整備計画を策定することとしており、こうした取組により安定した漁獲量を確保していきます。 県としては、今後とも漁業者をはじめ、市町、関係団体と緊密に連携し、安定した漁獲ができる環境の維持・整備に向け、ソフト・ハード一体となった施策を展開することにより、瀬戸内海の漁業の振興にしっかりと取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 小関商工労働部長。    〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 ◎商工労働部長(小関浩幸君) 脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素化の世界的な潮流の中、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量が企業価値に影響を与える状況となってきているなど、中小企業にとっても脱炭素化の取組は重要な課題となっています。 しかしながら、中小企業においては、脱炭素化への対応方策等の情報が乏しいことや、設備導入コストが高いことなどから、その必要性を理解しながらも、取組をちゅうちょする企業が多い状況にあります。 このため、現在策定を進めている、やまぐち産業脱炭素化戦略において、中小企業に対する支援機能の強化を位置づけ、普及啓発をはじめ、経営・技術支援や資金支援など、きめ細かな支援に取り組むこととしています。 まず、普及啓発に向けては、地球温暖化防止活動推進センターと連携し、省エネの効果や再生可能エネルギーの導入促進に向けたセミナーの開催や、省エネ診断の実施によるCO2削減効果の見える化などを進めていくことにより、中小企業の理解促進を図り、具体的な取組につなげてまいります。 経営・技術支援については、やまぐち産業振興財団や産業技術センター、商工会議所等の支援機能を強化するとともに、各機関が連携した一体的な支援体制の構築を検討し、その下で企業課題に応じた効果的な伴走支援を行っていきたいと考えています。 資金支援については、脱炭素化に向けた設備投資等に対する県制度融資の充実や、国の補助制度等の活用に向けたサポートを行うとともに、県独自の支援制度についても検討してまいります。 さらに、脱炭素社会への変革をビジネスチャンスと捉えた取組も重要であることから、環境・エネルギー分野など、これまで取り組んできた成果や強みを生かし、産学公が連携した研究開発や新事業展開の取組を支援してまいります。 脱炭素化への対応は、国・地方が一丸となって取り組むべきものであり、県としては、国に対して中小企業の強化を求めるとともに、これから素案を取りまとめる戦略において、しっかりと検討を進め、中小企業への支援の充実強化に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 松岡総合企画部長。    〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 ◎総合企画部長(松岡正憲君) デジタル社会を支えるインフラ整備についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化の推進に当たっては、その基盤となる光ファイバー等のデジタルインフラの整備が不可欠です。 このため、県では、市町等と連携し、その整備促進に向けた取組を進めており、お示しの、やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)は、全県的な基幹網として、通信事業者の県内各地域への光ファイバー網の拡張等に活用されてきました。 こうした中、このたび、YSNの将来の方向性について、有識者による在り方検討会で、様々な観点から検証が行われたところです。 その結果、YSNは、コスト面で将来的にも民間サービスより優位性があることや、デジタル化が急速に進展する中で財産的価値が高まっていることなどにより、今後も、県の強みとして積極的に生かすべきとされたことから、県では、デジタル・ガバメントの推進や、教育・医療などの幅広い分野でYSNのさらなる有効活用を図っていきます。 加えて、YSNを基盤とするケーブルテレビ事業者等と連携し、光ファイバーのユニバーサルサービス化で創設が見込まれる不採算地域への支援を生かした、光ファイバーの整備促進にも取り組みたいと考えています。 また、光ファイバーなどが必要な地域における整備を着実に進めるため、デジタル田園都市国家構想を掲げる国や市町との連携を強化していきます。 まず、国に対しては、全国知事会等を通じて、地方の状況をしっかりと伝え、地方を後押しする光ファイバーの支援制度の拡充や、都市部に遅れることのない5Gの整備等を強く求めていきます。 さらに、国が都道府県や通信事業者等を構成員として設置する、地元ニーズに沿った整備を進めるための地域協議会において、県内整備への働きかけや、地域格差の是正に向けた、光ファイバー未整備地域での5Gの先行整備の提案などを行っていきます。 また、市町との連携については、光ファイバーのユニバーサルサービス化も踏まえ、個々の地域の状況をより詳細に把握し、具体的な整備手法等を協議・調整する場づくりなど、新たに検討したいと考えています。 県としては、引き続き、国や市町、通信事業者等としっかりと連携し、YSNも有効に活用しながら、光ファイバー等のデジタルインフラの整備促進に向けて、積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 繁吉教育長。    〔教育長 繁吉健志君登壇〕 ◎教育長(繁吉健志君) 農業高校の在り方についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化や人口減少等による農林業の担い手不足が進む中、新たな時代において持続可能な農林業等を創造できる人材や、地域の農林業や関連産業を担う人間性豊かな職業人の育成が求められており、農業高校が果たす役割は重要であると考えています。 このため、本県の農業高校では、基礎的・基本的な知識・技術の習得はもとより、専門性の向上や実践力の育成のため、作物の栽培方法等について学ぶ農業現場での技術研修や、商業科等の異なる学科と協働しながら、それぞれの専門性を生かした商品開発や販売活動などに取り組んでいるところです。 また、お示しの田布施農工高校では、国の研究事業を活用し、産学官のコンソーシアムを構築することにより、地域と学校で、目指す地域人材の姿を共有しながら、担い手不足や耕作放棄地等の地域課題の解決に向けた教育活動に取り組み、将来、地域に貢献したいと考える生徒や県内就職を希望する生徒の増加へとつながっています。 こうした中、県教委では、本年三月に策定した第三期県立高校将来構想において、これからの農業教育の方向性として、生徒の興味・関心を就農につなげる教育活動や、新しい時代の農業の担い手を育てる教育活動などの充実を掲げたところです。 今後は、この方向性に沿って、若手就農者とのディスカッションや小中学校への出前講座、地元企業との共同研究など、地域や産業界と連携・協働した取組を通して、生徒に農業の魅力ややりがいを実感させるとともに、職業観や勤労観を一層育んでまいります。 また、農業用ドローンや自動操舵トラクターなど、最先端の産業教育装置を活用した教育活動を推進するとともに、スマート農業に力を入れている県立農業大学校との連携を強化するなど、農業の技術革新と高度化等に対応した教育活動の充実に取り組むこととしています。 こうした農業教育を全県的に推進するため、地域の特色を生かした農業高校を県内にバランスよく配置することも検討してまいります。 県教委といたしましては、新たな時代において、本県の地域・社会を支え、農業の持続的な発展を担う人材の育成に向け、将来構想の方向性に沿って、農業教育の一層の充実を図ってまいります。 ○議長(柳居俊学君) 有近眞知子さん。    〔有近眞知子さん登壇〕(拍手) ◆(有近眞知子さん) 皆様、おはようございます。自由民主党会派の有近眞知子です。 七月八日、世界を駆けめぐった安倍元総理御逝去の報は、あまりに突然で、今なお、私たちが失ってしまったものの大きさを痛感する日々です。 私は、六月の参議院議員選挙で自民党遊説隊の一員として、安倍先生と一日を御一緒させていただきました。この日はあいにくの雨でしたが、安倍先生は道路沿いで応援してくださる方々に、五十回以上も車から降りてグータッチをされたり、声をかけられたり、またスタッフの皆さんとの昼食では、疲れも見せず、楽しい話で皆さんをねぎらっておられました。 そんな姿を近くで拝見して、安倍先生は地域の方々との触れ合いを大切にし、国民の思いや生活を肌で感じ、どう行動すべきかを判断できる方であったからこそ、国民のための政策を次々と実現することができるのだと思いました。 安倍先生に心より追悼の意を表しますとともに、私も同じ山口県の政治家として強い信念を持ち、山口県の未来をつくり上げるため、全力を尽くす覚悟であることを申し上げまして、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、企業の目線に立った産業戦略の推進についてお尋ねします。 八月三十日、私の地元柳井市で、株式会社トクヤマによる、再生可能エネルギーの余剰電力を使って水素を製造するアルカリ水電解装置の製作・開発拠点の起工式が開催され、私も出席させていただきました。 同社では、水素製造から利活用まで、エネルギーを効率的に使用することのできるサプライチェーンを構築し、国内外での再生可能エネルギーの普及や地産地消など、水素社会の実現に貢献していこうとされています。 県では、これまで、コンビナートの苛性ソーダ工場から純度の高い副生水素が大量に供給されるという地域特性を生かし、水素先進県の実現を目指した様々な取組を進めてこられました。 中でも、水素関連の技術開発支援に関しては、平成二十五年度に策定した、やまぐち産業戦略推進計画において、最優先で取り組む重点的な戦略の一つとして位置づけ、全国でもトップクラスの補助制度を創設されたところであり、現在も継続されているこの補助制度が、株式会社トクヤマのアルカリ水電解装置の研究開発にも活用されたとお聞きしています。 一方、国内では、活用できる再生エネルギーの価格が割高であるほか、特に地方では、FCVなど水素の需要先がまだ十分にないという課題があり、水素の社会実装に向け、水素の地産地消に、県自ら率先して取り組むなど、県に対して大きな役割を期待しているとの声も聞かれます。 県内に目を向けると、周南市は、FCVの購入補助に加え、先月からは、水素ステーションで充填する水素価格を半額にするという思い切った取組を、市独自でスタートされたとお聞きしており、こうした県内企業や地元市町の将来を見据えた取組をしっかりと応援していくことが重要だと考えます。 県ではこれまで、強い産業力なくして、明日の地域の活力は生まれないとの信念の下、産業戦略の取組を強力に推進してこられました。 令和二年七月には、光市の島田川の水源を工業用水に転用し、周南地区に送水が開始されたことで、長年、水不足に悩まされてきた同地域の工業用水の安定供給が実現しました。 また、実際の給水量ではなく、契約水量に基づき料金を決定する硬直的な料金制度を、企業の節水努力が料金に適切に反映されるよう、基本料金と実際の使用量に応じた使用料金からなる制度に見直しを実施されました。 さらに、地産地消の観点からは、石灰石の生産量が全国トップクラスという地域特性を生かし、県が整備する道路で、コンクリート舗装の使用範囲を拡大するなど、地元産業を応援していくという明確なメッセージを発信されました。 環境とエネルギーセキュリティーをともに解決でき、我が国にとって究極のエネルギーともなり得る水素を例示としてお話しさせていただきましたが、産業政策を立案・実行するに当たって何より重要なのは、企業の声にしっかりと耳を傾けるとともに、企業活動にしっかりと寄り添っていくという姿勢を施策に反映させることだと考えます。 そこでお尋ねします。二○五○年カーボンニュートラルに向けたGX、グリーントランスフォーメーションにとどまらず、世界中に広がりつつあるブロックチェーンを基盤としたウェブ三・○の到来など、複雑かつ目まぐるしく変化する世界経済を前に、本県の産業戦略の推進に当たっては、将来を見据えて果敢に挑戦する地元企業の目線に立って、施策を立案・実行することが必須だと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、水道事業の基盤強化についてお尋ねします。 昨年十月三日、和歌山市で水道用の橋が崩落し、六万世帯で一週間の断水が発生しました。また、その四日後には、千葉県北西部を震源とした震度五強の地震の影響により、東京都内の二十三か所で漏水事故が起きました。 地震発生後のSNSには、都内各所でマンホールから水が噴き出す様子を映した動画が投稿され、その映像に、自分の住む地域の水道施設に不安を感じた方もいらっしゃったのではないかと思います。 全国の水道施設は、高度経済成長期に飛躍的に整備されたため、約二割が設置から四十年以上経過し、水漏れなどの事故が毎年二万件以上も起きており、近年、水道施設の老朽化対策や耐震化が社会的な課題となっています。 しかしながら、水道事業は、主に市町が経営しているため、小規模で経営基盤が脆弱な事業が多く、今後、さらなる人口減少によって料金収入が減少すれば、水道事業の経営状況はますます厳しくなっていきます。 また、水道事業者は、こうした老朽化対策に加え、頻発する地震等の災害への対策や、不足する専門人材の確保など、単独での解決が大変困難な課題を多く抱えており、近隣の市町と連携して経営の効率化や基盤の強化を図る、広域連携の取組が大変重要となっています。 こうした状況を踏まえ、私は、令和元年九月、県議として初の一般質問において、水道事業の広域化も含めた基盤強化の必要性について質問し、県の積極的な取組をお願いしました。 その後、県では、県内の持続可能な水道事業の確立を目指して、令和二年七月に山口県水道ビジョンを策定され、各水道事業者の広域連携に向けて、市町間の調整や事業者間の理解増進などの取組を進められています。 私の地元、柳井地域でも、平成二十九年に、柳井市、田布施町、平生町、上関町、周防大島町の一市四町と二つの水道企業団で構成する柳井地域水道事業広域化検討委員会を設置し、将来的な事業統合を目指した検討が行われており、これまで、機器の共同購入や委託業務の共同発注など、事務処理の効率化につながる成果が上がっているとのことです。 水道は県民の生活に必要不可欠なものであり、水道の事故や料金の値上げは、県民の生活に直結しますので、今後も、県全体で、広域連携に向けた議論がより一層進められることを期待しています。 山口県水道ビジョンでは、山口県民にとって望ましい水道の理想像を、安心で安全な水を合理的な対価を持って今後も飲むことができることとされています。この理想像の実現に向けては、各水道事業者の自主的な努力が大切ですが、その推進役としての県の積極的な取組も強く求められていると思います。 そこでお尋ねします。県内水道事業の基盤強化に向け、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、地域の産科・小児科体制の維持についてお尋ねします。 我が家には小さい子供がおり、病気やけがの心配が絶えないのですが、先日も六歳の長男が夜中に具合が悪くなり、大変不安な思いをしました。小さな命を守らなければならない親にとって、夜中でも駆け込める小児科が近くにあるかどうかは非常に重要な事柄であり、困って初めて、そのありがたみが分かります。 小児科医は、子供の健康や発達、病気の予防や治療を担う子供の総合医であり、赤ちゃんは生まれた瞬間から小児科医の担当となります。 そのため、リスクの高い分娩や帝王切開分娩には小児科医が立ち会うことが一般的であり、病院での分娩に際して、産科医とともに小児科医は不可欠な存在ですが、全国的に小児科医不足が問題となっています。 私の地元、柳井地域でも小児科医の不足は深刻であり、柳井医療圏で唯一、お産を取り扱っていた周東総合病院では、今年四月から常勤の小児科医がいなくなり、平日昼間のみ非常勤の小児科医が派遣されることとなったことから、分娩の受入れ休止を検討せざるを得ない事態となり、地域の分娩体制を維持できなくなる危機がありました。 この件に関しては、県の健康福祉部長や担当審議監、職員の皆様をはじめ、柳井市長、圏域の各町長、地域の医療関係者などの多くの方々の粘り強い御尽力と、山口大学医学部小児・産科医局の、分娩は止めてはならないとの強い思いから、周東総合病院への非常勤小児科医の支援体制が強化され、分娩の受入れ体制が維持できる見通しとなりました。 地域の妊婦、母子へ安心を与え、地域の未来に明るさをもたらすものであり、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。 しかしながら、地域における人口減少と医師不足などが続く限り、引き続き難しい問題として地元が背負わなくてはいけない状況に変わりがありません。分娩体制の維持・継続、安定のため、今後ともお力添えを頂きたいと思います。 こうした中、県では、医師確保に向け、医師修学資金の特定診療科枠に産婦人科・小児科を指定し、修学資金の貸与を行うとともに、山口大学でも、いわゆる地域枠による入学者を増やしてこられました。 これらの対策は、医師の地域偏在、地域内での診療科の偏在の緩和に一定の効果がありますが、対処療法であることは否めないところであり、根本的な問題解決のためには、なぜ、若者が地方に残りたがらないのか、なぜ、産婦人科や小児科を専攻する医師が不足しているのかという課題に、正面から向き合う必要があると考えます。 先日、医師の方からもお話を伺いましたが、出身地を問わず、大学教育や研修の過程で小児科医を目指す学生も多いとのことです。そういう熱意を持った若者に対し、医師となった後に、どれだけ魅力的な環境を提供できるかといった観点も重要ではないでしょうか。 例えば、地方にいても専門性を高めて技術向上ができ、キャリアを途切れさせない仕組みづくり、医師として情熱を持ち続けられる勤務体制や労働時間、賃金等の労働環境の改善に向けた支援などです。医学教育や診療報酬の在り方など、県だけで解決できることではありませんが、遠いようでも医師確保対策の王道だと考えます。 そこでお尋ねします。柳井医療圏をはじめとした地域の産科・小児科体制の維持に向け、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、次世代にとって魅力的な建設産業の構築についてお尋ねします。 建設産業は、産業活動や県民生活の基盤となるインフラの整備や維持管理を担うとともに、本県の就業者の約一割の方が従事する、重要な産業の一つです。 また、甚大な被害をもたらす災害等が全国で多発する中で、国土強靱化に向けた社会資本の整備や、災害対応を担う地域の守り手としても、建設産業の果たすべき役割はますます大きくなっています。 こうした中、建設産業は、長らく、就業者数の減少や高齢化の進行が続いており、人手不足が大きな課題となっています。そして、特に深刻なのが、若者や女性の就業者が少ないことです。 国土交通省の調査によると、令和二年における二十九歳以下の建設業就業者の割合は約一二%であり、全産業の平均値である約一七%に比べて低くなっています。 また、厚生労働省の調査では、令和二年における建設産業の女性比率は約一七%で、女性の新卒者を雇用した企業も三割にすぎません。 このように、建設産業に若者や女性の就業者が少ないことの原因として、多くの方が指摘されるのが、労働環境と待遇、そしてイメージです。 まず、労働環境については、建設産業の年間の総実労働時間は、全産業と比べて約二割、三百六十時間以上も長く、年間の出勤日数も二百四十四日と全産業と比べて三十二日も多くなっています。 また、待遇については、全ての企業に当てはまるわけではありませんが、建設産業全体としては、労働時間が他産業に比べて長いにもかかわらず、年間賃金総支給額は他産業とほぼ同じであり、また、同じ技能者である製造業と比べ低い水準となっています。 さらに、イメージについても、建設産業は今後の需要も高く、社会に貢献できる、将来にも安心できる業種だと思いますが、いまだに昔ながらの危険できつい力仕事という先入観を持つ方も多いようです。 今後、生産年齢人口の減少等に伴い、建設産業の就業者数はさらなる減少が見込まれる一方で、建設産業においても、デジタル人材の確保や技術継承の必要性が高まっており、若者や女性をはじめとする担い手の確保・育成は、建設産業にとって喫緊の課題となっています。 この解決に向けては、長時間労働の是正や休日の確保などの就業環境の改善、適正な賃金水準の確保、建設産業に対するイメージアップや理解促進などを総合的に進めていく必要があり、県には、建設産業を所管・支援する立場と、公共工事の発注者の立場の両面から、積極的に取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。本県の建設産業が、インフラの整備や維持管理の担い手として、また、地域の安心・安全の確保を担う守り手として、その社会的役割を将来にわたって果たし続けていくため、次世代にとって魅力的な建設産業の構築に、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、自転車の活用推進についてお尋ねします。 自転車は、身近な移動手段として多くの方に利用され、近年の健康志向の高まりやライフスタイルの変化、さらには、コロナ禍の交通行動の変化などを背景に、環境負荷の小さい交通手段として、また、人との接触を低減する移動手段として、利用ニーズが非常に高くなっています。 さらに、私の住む柳井市から周防大島にかけては、これまでに地域の観光振興の取組として、瀬戸内海の多島美を楽しめるシーサイドコースを自転車で走行する、サザンセト・ロングライドinやまぐちなどが開催されています。 また、コロナ禍での健康サイクリングや、カーボンニュートラルに向けた自転車エコ通勤の推進につながる取組として、企業の研修ツアーや体験会を行うサザンセトでのウェルネスサイクル発表イベントが企画されるなど、地域ぐるみの取組が進められています。 こうした中、国においては、環境負荷の低減や国民の健康増進など、新たな課題に対応するため、平成二十九年に自転車活用推進法が施行され、本県においても、この法律に基づき、やまぐち自転車活用推進計画を策定され、今年度、計画期間の最終年度を迎える中、様々な取組が実施されています。 この自転車活用推進法は、手続やルールを定め、何かを制限しようとする規制法ではなく、規制や罰則については特に規定せず、目指すべき理念を掲げる理念法として、自転車の活用の推進に向け、具体的に実施すべき施策が定められています。 こうした施策を実施する県や市町は、法の目的や基本方針を踏まえ、自転車を取り巻く社会情勢の変化や利用ニーズなどをしっかりと把握した上で、自転車の活用を推進するための新たな課題などについて、スピード感を持って、的確かつ積極的に対応していく必要があると考えます。 先日、猶野議員の一般質問でも、地域交通の再生、活性化に向けて非常に重要な提言がされたところですが、例えば、地域交通の利用促進につなげるため、自転車を分解せず鉄道やバスに乗車できるサイクルトレイン・バスの導入や、駅等でのレンタルサイクルやシェアサイクルとの接続強化、普及を促進するとともに、インバウンド需要の回復を見据え、サイクリストの受入れ環境の整備や、国内外のサイクリストの県内への誘客に努めるなど、積極的な取組が必要と考えます。 また、起伏に富んだ地形でも楽に走行でき、女性やシニア層を中心に人気が高い電動アシスト自転車や、今年の道路交通法の改正により、新たな移動手段として普及が期待される電動キックボードの活用も視野に入れるなど、施策を総合的に推進していくべきと考えます。 そこでお尋ねします。地域の観光振興への期待が大きく、環境にも優しい自転車の一層の活用推進に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、eスポーツの推進についてお尋ねします。 コロナ禍により、従来のスポーツやイベントの中止が相次ぐ中、いわゆるおうち時間の増加により、eスポーツの競技人口やファンは爆発的に拡大しました。 二○二四年には、世界の市場規模は約一千八百億円を突破、オーディエンスは約五億八千万人まで増加するとの試算もあり、プロ野球の観客動員数が約二千五百万人であることを考えると、その桁違いの成長力に改めて驚かされます。 eスポーツというと、ハイレベルなプレーヤーが高額賞品をかけて競い合い、その技術に大勢の観客が熱狂する、そんな風景が一般的ですが、実は、高齢者の認知症予防や生きがい創出、子供たちのひきこもり問題の解消など、現代の社会課題を解決する力を秘めていることはあまり知られていません。 私の地元の柳井グランドホテルでは、こうしたeスポーツの知られざる長所に着目した取組をスタートされています。 高齢者医療・デジタル教育の専門家や、難病と闘うeスポーツプレイヤーのFlowさんと連携し、eスポーツと高齢者の健康をテーマとした講演会や、米軍岩国基地関係者を対象とするeスポーツ無料体験会等の開催、学生eスポーツ部への施設や機材の無償提供に取り組まれるなど、老若男女が世代や健康・体力のハンディキャップ、言葉や文化の違いを超えて、客室で気軽にeスポーツを楽しむことのできる環境づくりを進められています。 私はもともと、eスポーツはただのゲームだろうと思っていた一人ですが、実際に、高校生のeスポーツ合宿を見学させていただき、精神面・身体面の強化、ルールや礼儀の徹底、チームの仲間と声を掛け合う真剣勝負を見て、eスポーツはスポーツそのものだと感じました。 また、eスポーツは、あらゆる人々が生き生きと、そして和気あいあいと共生できるごちゃまぜのまちづくりとも、考え方を同じくしているように感じます。 このように様々な効果が期待されるeスポーツですが、これを推進し、広く普及させていくためには、一定の資金も必要です。 それを解決する手段の一つに、企業版ふるさと納税があります。企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体の行う地方創生の取組に寄附した場合、税額控除を受けられる制度で、寄附額の最大約九割が軽減され、社会貢献によるイメージアップにもつながります。 先日、茨城県で、この制度を活用して、全国規模の高校eスポーツ大会の実施等を使途とする寄附が行われ、大きな話題となりました。 企業版ふるさと納税の活用は、財源確保につながるだけでなく、意欲ある企業と連携することで、eスポーツ自体を推進する力にもなるものだと感じています。 現在、企業の社会貢献に対する関心や実践意欲はかつてないほどまでに高まっており、そうした企業の思いや推進力を、eスポーツを通じた社会課題の解決とうまくつなぎ合わせることができれば、大きな成果につながるのではないかと考えます。 そこでお尋ねします。今後、さらなる成長が見込まれ、幅広い分野での効果も期待されるeスポーツについて、企業版ふるさと納税等も活用しながら、積極的に推進すべきと考えますが、県の御所見をお伺いします。 最後に、今議会をもって御退任されます弘田公安委員長に一言申し上げます。 弘田委員長は、前山口県知事であり、私の伯父である山本繁太郎の同級生として、選挙にあっては山本繁太郎後援会の会長も務めていただき、また、私が弁護士になったときには、繁太郎が生きちょったら喜んだじゃろうと、弁護士の大先輩として優しい言葉をかけてくださるなど、個人的ではありますが、少なからぬ御縁をいただいてきました。 このたび、九年間務められた公安委員を御退任されるに当たり、これまでの御貢献と御功績に心から感謝と敬意を表しますとともに、今後ますますの御清栄をお祈り申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 有近議員の御質問のうち、私からは企業の目線に立った産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要です。 このため、私は、知事就任以来、やまぐち産業戦略推進計画を進化させながら、また、ものづくりを中心に今後伸ばしていくべき成長分野を明確化し、この計画を再構築した、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、本県の高度技術や産業集積を生かした産業戦略を積極的に推進してきました。 この結果、港湾や幹線道路網の整備、お示しの島田川工業用水道の給水開始など産業インフラの充実をはじめ、水素関連では、県独自の補助制度等により三十件を超える事業化が実現するなど、目に見える成果が着実に上がってきています。 こうした中、世界的な脱炭素化の流れを受け、産業構造や社会経済の変革を促すグリーントランスフォーメーション、GXや、新型コロナウイルスを契機に急速に進展するデジタルトランスフォーメーション、DXなど、産業界を取り巻く環境は大きく変化しています。 私は、このような環境変化を本県産業のさらなる成長・発展へつなげていくためには、企業の声にしっかりと耳を傾け、実効性ある施策を構築し、将来に向けた各社の前向きな挑戦を、強力に後押しをしていくことが何より重要と考えています。 このため、施策の立案に当たっては、私自らが本部長を務め、産学公金からなる産業戦略本部において、各委員からの意見をお聞きするとともに、取組成果等を検証し、必要に応じて改善を図るPDCAサイクルにより、施策を推進しているところです。 また、分野ごとの取組においても、GXの推進に向け、関係企業や市町等との協議を重ね、本県コンビナートの低炭素化構想最終案を取りまとめたところであり、この構想を核として、さらに広く関係者の意見をお聞きしながら、産業全般の取組を促進するための戦略を策定することとしています。 さらに、ものづくり企業におけるDXの推進に向け、アクセラレーターの伴走支援により、5GやAI等の未来技術を活用した実証プロジェクトを実施するほか、本年度新たに、デジタル技術の実装に対する補助制度を創設するなど、企業に寄り添った支援を行っているところです。 こうした取組に加え、県や、地元企業に詳しい地域金融機関、産業支援機関等で構成する地域中核企業創出・支援カンファレンスチームの活動を通じて、引き続き、企業の様々な課題やニーズを把握し、各機関相互の情報共有を図りながら、それぞれの強みを生かした支援を実施してまいります。 私は、今後とも、産業戦略本部を中心に、市町や関係機関等とも緊密に連携し、企業ニーズを踏まえた産業戦略の推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
    ○議長(柳居俊学君) 藤田環境生活部長。    〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 ◎環境生活部長(藤田昭弘君) 水道事業の基盤強化についてのお尋ねにお答えします。 水道は、私たちの生活や産業活動などを支える社会インフラであり、安全な水が将来にわたって安定的に供給されることが重要です。 このため、本県の水道事業については、市町等の水道事業者により、経営の効率化等が図られてきたところですが、お示しのように、人口減少や老朽化施設への対応、専門人材の確保など、事業者単独では解決が困難な課題を多く抱えている状況にあります。 こうした中、県では、令和二年七月に、山口県水道ビジョンを策定し、将来のあるべき姿や方向性を示したところであり、水道事業の持続可能な経営を確保するためには、広域連携による基盤強化を図る必要があると考えています。 このような考えの下、改正水道法において、広域連携の推進役として県の責務が明示されたことも踏まえ、令和三年一月に、県と事業者による検討・調整の場として水道基盤強化連絡協議会を立ち上げたところです。 さらに、今年度は、県と事業者において、現状・課題や将来の見通しを共通認識できるよう、協議会で意見交換等を行いながら、広域連携シミュレーションを実施しています。 具体的な内容としては、まず、組合せについて、水道ビジョンで示した東部、中部、西部の三圏域を基本とした広域化のパターンに加え、事業者の意向を踏まえたその他のパターンも設定します。 その上で、事業統合をはじめ、施設の共同利用や管理事務の一体化等の広域連携の類型ごとに、今後四十年間の財政収支等の見通しを推計し、現行体制を継続した場合との比較により、その効果等を検証することとしています。 このシミュレーションは、今年度末までに取りまとめて公表し、これを契機に、事業者間の認識を深め、機運をさらに醸成し、その後、地域の実情やニーズに応じた広域連携の実現に向けて、協議を進めていきたいと考えています。 県としては、こうした取組を通じて、今後とも、水道事業者等と緊密に連携し、水道事業の基盤強化に積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 弘田健康福祉部長。    〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 ◎健康福祉部長(弘田隆彦君) 地域の産科・小児科体制の維持についてのお尋ねにお答えします。 若い世代が安心して子供を産み育てられるよう、産科・小児科に係る地域医療提供体制を将来にわたり維持していくためには、産科医及び小児科医の安定的な確保が必要です。 県では、医師修学資金に、県内で勤務することを償還免除要件とする貸付枠を設け、若手医師の養成・確保に取り組んでおり、これまでに産婦人科医八名、小児科医十六名が勤務を開始し、今後も増加が見込まれています。 医師の着実な確保に向けては、こうした取組に加え、お示しのとおり、産科医・小児科医が県内での勤務に魅力を感じられるよう、充実したキャリアを形成できる仕組みと、持続的に働ける良質な勤務環境づくりを推進することが重要と考えています。 このため、県では、キャリア形成に向けて、十五か所の臨床研修病院と、二か所の専門医を養成する基幹病院を確保し、臨床研修から専門医取得まで、県内で一貫したキャリアアップができる研修体制を整備しているところです。 また、研修がより魅力的なものとなるよう、山口県医療対策協議会において、各病院の強みを生かした研修プログラムの充実や、指導医の資質向上等について、検討・協議しています。 さらに、特色ある研修プログラムを紹介するガイドブックの配付や、合同説明会の開催を通じて、医学生や臨床研修医に対し、本県の充実した研修体制の魅力を積極的に発信してまいります。 次に、良質な勤務環境づくりに向けては、産科医への分娩手当の支給や小児医療設備の整備など、医師の意欲向上や能力発揮に取り組む医療機関に対して、支援を行っています。 また、県に設置している医療勤務環境改善支援センターにおいて、アドバイザー派遣等を行い、医師がやりがいを持って、健康的に働ける環境づくりに向けた対処方法や好事例を紹介するなど、労働環境改善への取組を後押ししてまいります。 こうした取組に加え、産科・小児科の医療関係者で構成する県周産期医療協議会等において、医師確保対策や医療機関の連携等について協議を行い、将来を見据えた産科・小児科に係る地域医療提供体制の着実な整備を推進してまいります。 県としましては、今後とも、山口大学や県医師会などの関係機関との連携の下、地域の産科・小児科体制の維持に、積極的に取り組んでまいります。 ○議長(柳居俊学君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 次世代にとって魅力的な建設産業の構築についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設産業は、社会資本の整備・維持管理や、災害発生時の応急復旧対応などを担う中核的な存在であり、また、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 しかしながら、就業者数の減少や高齢化の進行により、特に若者や女性の就業者が少なく、近い将来、社会資本の整備や災害対応等に支障を来すおそれがあることから、持続可能な建設産業を構築することが極めて重要です。 このため、県では、建設産業を所管する立場と、公共工事の発注者の立場の両面から、就労環境の改善など建設産業の働き方改革を推進し、若者や女性にとって、魅力的な環境づくりを進めているところです。 具体的には、長時間労働の是正や休日の確保につながるよう、公共工事の施工時期の平準化や週休二日の取組を進めるとともに、ICT活用工事など、建設産業におけるDXを積極的に推進し、建設現場の生産性や安全性を向上することにより、労働環境の改善に取り組んでいます。 加えて、今後は、建設業者が工事現場で行う、女性用更衣室の設置や現場休憩所へのエアコンの設置などの取組も支援していく考えです。 また、就業者の待遇改善に向けては、毎年、設計労務単価を見直すとともに、入札参加者等に対し、適切な水準の賃金の支払い等を要請した結果、設計労務単価は、十年前と比べ四割以上、上昇しており、今後も賃金水準を向上させるための取組を進めてまいります。 さらに、これらの取組が建設産業のイメージアップにつながるよう、児童生徒やその保護者を対象とした現場見学会をはじめ、出前授業や魅力発見フェア等の様々な機会を通じて情報発信し、将来の担い手である若者の入職促進に取り組んでいます。 特に、女子学生等を対象としては、建設産業に従事している女性、けんせつ小町との座談会を設け、建設産業に対する不安を払拭し、安心して入職できるような取組も行っているところです。 その結果、建設産業における技術者・技能者の若年者比率は平成二十五年度の八・八%から令和二年度には一一・六%まで増加しており、今後、さらなる向上を図ってまいります。 県としましては、建設産業が、インフラの整備や維持管理の担い手として、また、地域の安心・安全の確保を担う地域の守り手として、将来にわたってその社会的役割を担っていけるよう、引き続き魅力的な建設産業の構築に一層取り組んでまいります。 次に、自転車の活用推進についてのお尋ねにお答えします。 自転車は、環境に優しいモビリティーであるとともに、サイクリングを通じた健康づくりや余暇の充実等、人々の行動を広げ、地域との触れ合いや仲間とのつながりを取り持つコミュニケーションツールでもあり、その活用を推進することは大変重要であると考えています。 このため、県では、令和元年十二月にお示しの、やまぐち自転車活用推進計画を策定し、こうした観点を踏まえた取組を推進しているところです。 具体的には、観光客の誘致や交流人口の拡大に向け、県内各地域の道の駅や観光施設等を巡るサザンセトオレンジ海道など、十二のサイクリングルートを設定するとともに、サイクリングマップの作成や効果的な広報により、サイクリストの誘客促進に努めています。 また、県民の健康増進や安心・安全の観点から、自転車を利用した健康づくりに関する広報啓発や、子供から高齢者まで幅広い年代を対象とした交通安全教室の開催など、安全かつ快適な自転車の利用促進に向けた取組を進めているところです。 さらに、こうした取組を推進するための環境整備として、県内各地でレンタサイクル機能を有したサイクルステーションや、道の駅や都市公園等にサイクリストが休憩等で立ち寄るためのサイクルエイドなど、サイクリストの受入れに向けての整備を進めてきたところです。 また、柳井市内の県道光柳井線において、カラー舗装により歩行者と自転車を視覚的に分離する自転車歩行者道の整備を行うなど、安全で快適な自転車通行空間の計画的な整備にも積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、コロナ禍による交流人口の減少や、通勤などでの自転車の利用ニーズの高まり、電動アシスト自転車の普及など、自転車を取り巻く環境は大きく変化しています。 このため、こうした社会情勢の変化への対応という観点も踏まえ、今年度中に、やまぐち自転車活用推進計画を改定し、今後、さらなる安全で快適な通行環境の整備や、国内外のサイクリストの誘客等に、より一層取り組んでいく考えです。 県としては、観光の振興はもとより、県民の健康増進や自転車利用者の安全意識の醸成、交通混雑の緩和による環境負荷の低減など、様々な分野に自転車の持つ役割を拡大しつつ、安心・安全な自転車の利活用を総合的かつ計画的に推進してまいります。 ○議長(柳居俊学君) 三坂観光スポーツ文化部長。    〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 ◎観光スポーツ文化部長(三坂啓司君) eスポーツの推進についてのお尋ねにお答えします。 eスポーツは、交流人口の拡大や地域経済の活性化に資するとともに、お示しのような福祉や教育といった幅広い分野での効果も期待されることから、全国的に、イベントの開催をはじめとした様々な取組が実施されています。 こうした中、県においては、eスポーツが本県への誘客促進やスポーツ活動の裾野拡大にもつながるものとして、スポーツ振興施策とも連携しながら、バーチャルスポーツを活用したeスポーツイベントの開催などの取組を進めてきました。 具体的には、レノファ山口のホームゲームやサイクルイベントの会場において、eスポーツの体験会等を実施し、観客の増加につなげるとともに、eスポーツの普及促進を図ってきたところです。 また、今年度は、仮想空間で秋吉台のサイクリングが体験できるコンテンツを新たに整備したところであり、これを活用し、県外の大規模サイクルイベントにおいて、本県の観光地での走行を疑似体験できるブースを出展し、本県への誘客促進を図ったところです。 さらに、このコンテンツを生かし、海外とオンラインでつないだバーチャルサイクルイベントを開催することとしており、eスポーツを活用した自転車人気の高い国や地域における観光プロモーションにも取り組むこととしています。 今後においては、お示しの幅広い分野での活用や、企業版ふるさと納税をはじめとした財源確保の手法にも配意しながら、県内各地域においてeスポーツを活用した取組が一層促進されるよう、市町等に対して働きかけを行い、さらなる機運醸成を図ってまいります。 県としては、市町や関係団体等とも連携しながら、交流人口の拡大やスポーツの裾野拡大等につながるeスポーツの推進に取り組んでまいります。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。    午前十一時三十四分休憩   ─────────────    午後一時開議 ○副議長(二木健治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。   ───────────── △日程第一一般質問 △日程第二議案第一号から第十九号まで ○副議長(二木健治君) 日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十九号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 畑原勇太君。    〔畑原勇太君登壇〕(拍手) ◆(畑原勇太君) 皆様、こんにちは。自由民主党の畑原勇太です。 安倍元総理の突然の御逝去は、日本のみならず、世界を震撼させました。選挙演説中に銃撃との速報、そして、想像だにしなかった訃報は、まさに青天のへきれきでした。 父基成が亡くなった際には、総理在任中の激務の中、錦町の自宅を二度にわたって訪れていただき、私たち家族を元気づけてくださいました。 また、私が父の志を引き継ぎ、県議会議員として、岩国・和木地域と山口県のために全力で取り組む決意をしたときには、応援メッセージを寄せてくださり、大きな力添えを頂きました。 日本国のリーダーとして、長きにわたり力強く国を率い、世界の平和と安定にも大きな足跡を残された、その比類なき御功績に、改めて敬意と感謝の意を表しますとともに、衷心より追悼の意を表します。 質問に入ります前に、岩国基地問題について一言申し上げます。 私が父の後を継ぎ、県議会議員として政治の世界を歩み出した平成三十年、時を同じくして、米軍岩国基地において空母艦載機部隊の移駐が完了し、岩国基地をめぐる米軍再編の大きな動きが一つの節目を迎えました。 私の父は、空母艦載機の移駐をはじめとした岩国基地の諸課題について、基地議連を代表し、県や関係市町とともに、国に必要な対応を求め、県への基地交付金の創設など、基地の負担に見合う地域振興策の実現に尽くしてきました。 私は、こうした父の実績や思いをしっかりと受け継ぎ、基地反対を訴えるばかりではなく、基地があること、そして、これからも続く基地の負担という現実に目を向け、何よりも地域のためにという姿勢で、岩国基地に関わる諸課題に真摯に取り組んできたところです。 特に基地議連が中心となり、積み重ねてきた取組の成果として、実現した県への交付金に関しては、地域住民など地元のニーズを踏まえた施策や事業への有効活用について、登壇の場をはじめ、機会あるごとに執行部へ求めてきました。 県交付金の活用により、産業や生活の基盤となる道路や港湾の整備をはじめ、地域の拠点となる県立武道館や産業振興センターの整備に向け、道筋が確かになるなど、まさに県交付金があるからこそ、実現がかなうものであり、基地周辺地域の発展に確実につながってきています。 私としても、引き続き、県交付金による地域振興策が地域住民の皆様にしっかりと目に見える形で実感していただけるよう、交付金事業の充実に尽力していきたいと考えています。 一方で、現在、日本の外交・防衛を取り巻く環境は、大きく変化をしています。ロシアによるウクライナへの侵略をはじめ、中国や北朝鮮による軍事活動の活発化など、厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、政府において、我が国の防衛力を五年以内に抜本的に強化する方針が示されました。 今後の政府の取組によって、米軍岩国基地を抱える山口県にどのような影響が生じてくるのか、しっかりと注視していかなければなりませんが、基地問題に関しては、基地を抱える自治体が、まずは日本全体の平和と安全を守るため、政府が進める外交・防衛政策を尊重し、協力する立場に立つのは言うまでもありません。 その一方で、基地周辺住民の安心・安全を最優先に考え、艦載機移駐により増大した航空機騒音や事故等への不安など、住民の皆様の声にしっかりと耳を傾け、基地周辺地域の抱える負担と国防への協力・貢献に見合う十分な安心・安全対策はもちろんのこと、地域振興策のさらなる充実を求め、実現していかなければなりません。 私は、今後とも岩国基地に関わる諸問題について、地元選出の県議会議員として、誰よりも大きな責任を持って、その解決に全力を尽くしていくことを改めて決意し、通告に従い質問をさせていただきます。 まず、脱炭素化に対応する水素社会実装の推進についてお尋ねします。 先月末、周南コンビナートをカーボンフリーアンモニアの供給拠点として整備することを目的に、周南コンビナート四社が国に共同提案していた基本検討事業が採択されたとの発表がありました。周南コンビナートの産業競争力の維持・強化と脱炭素化の両立に向けた足がかりになるものと大いに期待をしています。 一方、本県の三つのコンビナートの一つにも数えられる岩国・大竹地区は、周南地区と異なり、原燃料などのつながりが比較的少ないという状況です。このため、各工場が単独で、非化石燃料の混焼検討や混焼率アップなど、脱炭素化に向けた検討が行われていますが、現実的な選択肢として検討が進められているのが、燃料のLNG転換によるCO2排出量の削減です。 ところが、岩国地区は、都市ガスのパイプラインが通っていないため、ガスを利用するためには、各社が、ローリーでの輸送と新たなタンクの設置という、他の地区であれば必要ない、追加の投資が必要となります。このため、地元企業からは、ガスパイプラインの導入に対する強い要望があり、県に、その調整役や支援を期待する声を様々な場面でお聞きしています。 現在、県では、産業団地を造成する計画を進めておられますが、ガスパイプラインの敷設は、まさに産業基盤の整備であり、産業団地内の道路や上下水道などの整備と同様のものだと考えます。県には、脱炭素化に直面する地元企業のこうした声を正面から受け止め、今後策定を進められる、やまぐち産業脱炭素化戦略にしっかりと反映していただきますよう、お願いしておきたいと思います。 また、脱炭素化に関して、地元企業からお聞きしたのは、正直なところ、脱炭素と言われても、先の見えない暗闇を手探りで進むようなものだという声です。同時に、CO2削減量はボイラーなどの燃料転換に比べ少ないものの、FCフォークリフト導入の実証など具体的な提案は大変ありがたいとの声もお聞きしました。 副生水素の供給ポテンシャルが高いという地域特性を有する本県では、全国的にも比較的早い段階から水素の利活用に取り組んでこられたと承知しています。一方で、六月定例会で我が会派が取り上げたように、せっかく県内企業が研究開発した製品が、地元で活用されていないのは非常に残念なことです。 私は、産業政策を進める上で肝要なのは、現場の声を聞くことだと考えます。全国をリードする水素先進県を目指すのであれば、まずは地域、そして実際に関連産業に参入しようとする企業の声をしっかりと受け止めることが重要です。 脱炭素、そして、ロシアのウクライナ侵略に端を発したエネルギー危機により、商用車や産業分野での水素利用、水素発電の導入、水素輸入に向けたサプライチェーンの検討等の動きが、世界中で進展しつつあります。県には、これまで積み重ねてきた水素の取組を無駄にすることのないよう、一歩一歩着実に、水素社会の実現に向けた取組をリードしていただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。脱炭素化という大きなうねりを前に、本県における水素社会実装の推進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、政府関係機関の地方移転を生かした産業振興についてお尋ねします。 政府関係機関の地方移転は、故安倍元総理の下、まち・ひと・しごと創生総合戦略で掲げられた地方への新しい取組の一つとして進められたものであり、その一環として、私の地元岩国市に、防衛装備庁艦艇装備研究所の新たな試験評価施設、岩国海洋環境試験評価サテライトが整備されました。 私は、この施設が本県に整備される経済効果を一過性のものにせず、持続的なものとすべきとの思いから、起工式が行われた直後の令和元年六月県議会で、この施設を生かした産業振興について質問させていただきました。 その後、整備は順調に進み、昨年九月の竣工以来、防衛装備庁による研究が実施されており、また、この施設に対する企業や若者の関心を高めるため、県と市が誘致した第八回水中ロボットフェスティバルが、八月二十八日に開催され、ジュニア部門では県内の高校生チームが優勝するなど、大いに盛り上がったとお聞きしています。 一方で、竣工から一年余り経過したものの、この施設の移転の目玉の一つである地域との連携という面では、この施設を活用した民生分野の研究開発にはいまだ着手できておらず、地元の期待には、まだ十分応え切れていないのではないかと感じています。 この施設の研究分野である水中無人機、いわゆる水中ロボット、水中ドローンは、労働力人口の減少に伴う潜水士の不足をはじめ、ダムや洋上風力等の発電プラント、橋脚、水道管や、港湾部の水中工作物等のメンテナンスなど、活躍が急がれる分野が多くあり、その需要は今後も拡大していくとされています。 私の地元岩国市でも、上空でドローンを活用した様々な取組を進めてきた企業が、新たに水中でもドローンを活用した測量や点検などに取り組もうとされており、一刻も早いこの施設の利用を心待ちにされています。県には、この施設の民生分野での活用に向け、なお一層の御尽力をお願いします。 水中ロボット関連産業は、国内を見渡しても、まだまだ未開拓の分野であり、今後の大きな成長が期待できる分野でもあります。県には、県内における水中ロボット関連技術への理解や普及を図るとともに、広く県外にも目を向け、ニーズやシーズの発掘を進めていただきたいと思います。また、それらを本県で新たな産業として開花させるためにも、この施設と連携し、民生分野の開発を下支えする研究体制を構築していくことが必要だと考えます。 そこでお尋ねします。艦艇装備研究所岩国海洋環境試験評価サテライトの開所を契機に、本県の水中ロボット関連産業の振興に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、資材高騰下における地域資源の有効活用についてお尋ねします。 ロシアによるウクライナ侵略や世界的な気候変動、投機目的の買占め等により、様々な資源や資材の流通が世界的に不安定になっており、また、我が国では、円安も相まって、過去にないレベルで資材の価格が高騰し、その調達が困難なほどの状況になっています。 その中でも、特に、畜産経営に不可欠な配合飼料の価格高騰が著しいことから、我が会派の代表質問でも取り上げ、県に対応を求めたところですが、私自身も直接、生産者の皆さんから、その厳しい状況をお聞きしています。 しかし、こうした資材の不足や高騰は、畜産をはじめとした農林水産業の分野にとどまりません。我が国は、食料はもとより、原油や鉄鋼資材、半導体など、私たちの生活に不可欠な数多くの資源や資材を海外に依存しており、ウクライナ侵略のように、一たび世界のどこかで紛争が起きれば、海外からの調達が不安定となり、県民生活や本県の産業に大きな影響を及ぼすことは明らかです。 こうした事態に備えるためには、これまで以上に、地域の資源を有効に活用していく視点が重要だと考えますが、今後、活用が期待される地域の資源の一つに、下水を処理する際に副次的に発生する下水汚泥があります。下水汚泥は、廃棄物として扱われることもありましたが、現在では、様々な分野に利用できる高いポテンシャルを有する資源として注目されています。 本県でも、下水汚泥量は年々増加しているものの、平成十八年度以降は、ほぼ全量が廃棄されることなく、セメントや堆肥の原料として有効活用されています。 しかしながら、国土交通省によれば、全国で発生する下水汚泥が有する有機物の全エネルギーが約百二十億キロワットアワーに上ることや、農産物の栽培に不可欠でありながら、ほぼ全量を輸入に依存しているリンについては、年間の需要量の約二割に相当する約五万トンが含まれていることなどが示されていながら、その特性を生かした利用はまだまだ不十分な状況にあります。 こうした中、全国の自治体では、下水汚泥を原料とした肥料を製造する取組が加速するとともに、下水汚泥の固形燃料化や下水汚泥中のリン回収などの研究や実証などが進みつつあります。その背景には、従来、コストが課題であったものが、様々な資材価格が高騰している中で、採算ベースに合うようになってきていることも追い風になっていると考えられます。 さらに、国でも、先月六日に新たなバイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、下水汚泥などを含めた総合的なバイオマスの利用の推進が重点化されたところです。 資源に乏しい我が国が、世界有数の経済大国になることができたのは、機を逸することなく、資源を有効に活用する技術の開発やその普及にしっかりと取り組んできたからだと思います。 私は、世界的な資材価格の高騰が続く今こそ、地域の資源に目を向け、行政と民間が連携しながら、エネルギーや資材を地元で確保する取組を進めていくことが重要だと考えます。 そこでお尋ねします。世界的に資材価格が高騰し、安定した調達も困難となっている現在、地域の有効な資源として高いポテンシャルを有する下水汚泥の活用に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、岩国・和木地域の道路整備についてお尋ねします。 岩国・和木地域の約八割を占める中山間地域は、豊かな自然や優れた景観、肥沃な土地から生まれる豊富な農産物など、平地にはない価値を有しており、地域の住民はもとより、県民全体の貴重な財産です。 一方で、中山間地域では、高齢化や人口の減少に伴う集落機能の低下、就業の機会の不足、生活を支えるサービスの低下などが住民の暮らしに深刻な影響を及ぼすなど、解決すべき課題は多岐にわたっています。 このため、私は、交通手段のほぼ全てを自動車に頼る中山間地域において、発展や生活の基盤となる道路は住民の命綱との強い思いで、地域の皆様が将来にわたり、安全で安心して住み続けることができるよう、これまでも、幹線道路から生活道路に至る道路整備の必要性や、維持管理の重要性をきめ細かく訴えてきました。 そこで、岩国・和木地域の中山間地域の道路整備と維持管理の充実の二点について、県の認識や今後の取組について質問します。 まず、中山間地域の道路整備についてです。 この地域の道路は、急峻な山間部の山腹や、谷沿いの地形といった厳しい地形条件を抱えていることもあり、依然として、すれ違いが困難な箇所や、見通しが悪く事故の危険性が高い箇所が多く存在するなど、スムーズで安全な交通の確保ができているとは言い難く、その解消が急がれます。 私は、県がこれまで進めてこられた道路整備の効果が、目に見えて現れていると感じている一方で、今のペースでは、人口減少や高齢化の進行、地域活動の多様化などの社会情勢の変化に対応できなくなるのではないかと危惧しています。 このため、道路の整備に当たっては、国や県の道路事業の予算に加え、基地周辺地域の振興を図るため、県や周辺市町に交付される基地交付金を積極的に活用し、整備をより一層加速化させ、例えば、地域の命綱である県道徳山本郷線や県道岩国錦線などの整備を計画的に推進していくべきと考えます。 次に、維持管理の充実についてです。 道路の維持管理は、日々の草刈りや舗装、区画線等の補修をはじめ、災害時における土砂撤去、冬季の除雪や凍結剤の散布など多岐にわたり、県は厳しい財政状況の中、予算を確保し、様々な工夫や効率化を図りながら、サービスの維持に努められています。 しかしながら、近年の人件費や材料費の急激な高騰を踏まえると、草刈り面積や舗装・区画線の補修範囲が減少し、必要な維持管理を行うことができなくなり、その結果、道路を利用する方へのサービス低下につながるのではないかと、大変不安に思っています。 このため、既存の道路の安全性や使いやすさを高め、道路を利用する方へのサービス向上を図るため、草刈り頻度や舗装補修等に関する維持管理の水準を定め、橋梁やトンネルのように、補修計画を策定した上で、必要な予算をこれまで以上にしっかりと確保し、計画的に維持管理を実施していくべきと考えています。 そこでお尋ねします。岩国・和木地域の活性化や、道路を利用する方々へのサービスの向上を図るため、道路の整備と維持管理を一体的かつ計画的に推し進めていくべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、今後の警察行政・公安委員会についてお尋ねします。 公安委員会は、強い執行力を持つ警察の民主的運営と政治的中立性を確保することを目的に設置され、その委員には、県民の良識を代表する、豊富な経験と高い見識を有する方が選任されています。 こうした重責ある公安委員を、平成二十五年から三期九年にわたり務めてこられたのが弘田公安委員長です。 弘田委員長は、弁護士として、法曹界で積み上げられた揺るぎない実績と豊富な御経験に基づき、これまでの枠にとらわれない柔軟な発想で、県警察の管理と県公安委員会の円滑な運営、そして何より、県警察に対する県民の信頼の醸成に大きな御貢献をしてこられました。 例えば、緊急走行時でないときに、パトカーや白バイが赤色回転灯を点灯して走行する光景は、今では当たり前のように見かけますが、かつては、警ら中でないパトカーや白バイが赤色回転灯を点灯しながら移動するようなことはありませんでした。 しかし、弘田委員長は、事件や事故の抑止につながるとの理由から、粘り強く働きかけを続けられ、現在のように、パトカーや白バイが移動中やパトロール中に常に赤色回転灯を点灯するよう徹底されました。 また、児童虐待の相談対応件数が増加し続ける中、その重要性が増している児童相談所の体制強化の一環として、児童相談所に警察官が駐在することの必要性を強く訴えられ、それを実現されたともお聞きしています。 現行の公安委員会制度になって七十年余りがたとうとしていますが、弘田委員長のリーダーシップの下、その御指示や御助言によって県警察が取り組んでこられたことは、着実に根を張り、芽吹いてきていると感じています。 いまだ収束が見えないコロナ禍や、急速に進むデジタル化など、我々の生活を取り巻く環境が大きく変化する中で、警察の不変の使命は、国民の生命、身体、財産を守ることであると考えます。 しかしながら、他県ではありますが、警察が組織として警護していた安倍元総理が銃撃されるなど、警察の使命を全うできているとは言い難い事態も生じ、警察への信頼が揺らぎかねない状況です。 本県の警察にも、現在取り組んでいる、あるいは今後取り組むべき様々な課題等があると思いますが、こうした中で、このたび、任期とはいえ、弘田委員長が御退任されることは、誠に残念です。弘田委員長のこれまでの御貢献に心から敬意を表しますとともに、弘田委員長が残された有形無形の御功績を、これからの県警察の礎にしていただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。弘田公安委員長は、これからの警察行政及び警察を管理する公安委員会について、どのように考え、どのようなことを望まれるのかお伺いいたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二木健治君) 村岡知事。    〔知事 村岡嗣政君登壇〕 ◎知事(村岡嗣政君) 畑原議員の御質問にお答えします。 まず、脱炭素化に対応する水素社会実装の推進についてです。 国の二○五○年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略において、水素はカーボンニュートラルのキーテクノロジーとして位置づけられ、政策ツールを総動員して、その利用や輸送、製造の取組を進めることとされています。 私は、こうした国の動きに呼応しながら、瀬戸内コンビナートから大量かつ高純度の水素が生成され、高度なハンドリング技術を有する本県の強みを最大限生かし、水素先進県を目指した取組を加速させることが重要と考えています。 このため、このたび、取りまとめた、やまぐち産業脱炭素化戦略の骨子案において、水素の利活用の推進を先行プロジェクトの中に掲げ、水素の社会実装に向けて、新たな技術開発の促進による産業振興や地域づくりに取り組むこととしています。 まず、新たな技術開発の促進による産業振興に向けては、産業技術センターに設置しているイノベーション推進センターを中核に、研究開発のステージに応じ柔軟に対応可能な補助金を活用し、先進的な研究開発・事業化を促進しています。 こうした取組を通じて、再生可能エネルギーを活用したアルカリ水電解装置や水素ステーションなど、来るべき水素社会を見据えた優れた製品が県内企業から生まれるなど、着実な成果につながっています。 今後は、さらなる裾野の拡大と事業化に向けた支援を強化するとともに、再生可能エネルギー由来の水素ステーションを県が率先して活用するなど、先進的な水素利活用モデルの展開による地域づくりに取り組んでまいります。 また、地域づくりに向けては、意欲ある市町との連携が重要であることから、燃料電池自動車の購入支援など、独自で様々な取組を実施している地域の御意見も伺いながら、水素社会の実現に向けた施策を展開してまいります。 あわせて、水素利活用を進める基盤づくりとして、現在、水素サプライチェーンの構築に向け、簡易水素充填機と小型容器を活用して、物流に大きな役割を担う燃料電池フォークリフトの試験運用に取り組んでいます。 試験運用に参加された事業者からは、エンジン式フォークリフトに比べ割高な購入経費やランニングコストに対する税制優遇など支援制度の拡充の要望が寄せられており、今後、国にも積極的に政策提言してまいります。 私は、脱炭素という世界の大きな潮流の中、市町、企業、関係機関等との連携をより一層図りつつ、県が先頭に立って、今後とも水素先進県の実現を目指して全力で取り組んでまいります。 次に、岩国・和木地域の道路整備についてのお尋ねにお答えします。 本県では、人口減少や少子高齢化が急速に進行し、地域の担い手や企業等の人手不足が深刻になり、特に中山間地域では生活の機能の確保が困難な状況が生じるなど、地域を取り巻く環境は厳しさを増しています。 私は、こうした中にあっても、活力を維持・創出し、持続可能な地域づくりを推進するためには、地域の課題やニーズを踏まえ、地域間の交流・連携や、住民の日常生活を支える道路の整備等が重要であると考えています。 このため、やまぐち未来開拓ロードプランに基づき、厳しい財政状況の下、選択と集中の視点に立ち、重点的・計画的な道路の整備や、適切な維持管理に取り組んでいるところです。 まず、中山間地域の道路の整備については、玖北地域を通過する幹線道路である国道四百三十四号の宇佐地区や、災害時等に国道百八十七号の迂回路としても機能する県道徳山本郷線の市ケ原地区において、バイパス整備などを鋭意進めているところです。 しかしながら、依然として、改良が必要な箇所が残っていることから、お示しの再編関連特別地域整備事業も活用し、住民生活の利便性の向上や産業の振興に寄与する道路の整備を、引き続き、地域のニーズをきめ細かく把握しながら、計画的に進めていく考えです。 具体的には、県道岩国錦線の大原地区において、幅員が狭い箇所や見通しの悪い箇所等の解消に向け、詳細な調査や設計に速やかに着手するなど、スピード感を持って取り組んでまいります。 また、道路の維持管理については、人件費や材料費が高騰する中にあっても、私は、利用者の安心・安全な通行を確保するため、草刈りや舗装の補修等により、道路を良好な状態に保つことが重要であると考えています。 このため、道路の建設時から、草刈りをはじめとした維持管理も考慮した整備を行うとともに、供用開始後は、交通安全上、支障が生じるおそれのある箇所等の草刈りを、重点的に実施することとしています。 また、舗装の補修については、損傷状況や路線の重要性など、これまでの視点に加え、予防保全の考え方も取り入れた長寿命化計画を、今年度中に策定することとしており、今後もより一層、維持管理費の縮減や平準化を図りながら、必要な予算の確保に努めてまいります。 私は、今後とも、地域の活力創出や、県民の安心・安全の確保を図るため、岩国・和木地域はもとより、県内全域の幹線道路から生活道路に至る道路網の整備や、適切な維持管理を計画的かつ着実に推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 ○副議長(二木健治君) 小関商工労働部長。    〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 ◎商工労働部長(小関浩幸君) 政府関係機関の地方移転を生かした産業振興についてのお尋ねにお答えします。 ロボット技術が急速に進展する中、資源・海洋環境の調査や水中構造物の維持管理など、水中ロボット活用への期待が大きく高まっており、水中ロボット市場は今後の大きな成長が見込まれています。 こうした中で、昨年、国内最大規模の水中ロボットの試験評価施設が岩国市に設置されたことから、県では、本施設の立地を生かして、水中ロボット関連産業の育成・集積に取り組むこととしています。 具体的には、まず、地元市と連携して誘致した県内初となる水中ロボットフェスティバルを開催し、機運の醸成を図るとともに、学生や研究者等の交流の場を創出しました。 また、水中ロボットの開発には制御装置や通信機器など多くの要素技術が必要とされ、優れた技術を有する県内企業の参入が期待されることから、施設の現地見学会やセミナーを開催し、これまでに約四十社の参加がありました。 これらの企業への支援体制を強化し、民生分野での研究開発を促進するため、先進的な水中ロボット研究が進む九州工業大学社会ロボット具現化センターと産業技術センターが本年七月に連携協定を締結したところです。 こうした取組を通じ、産学公連携による研究開発体制が構築されたことから、現在、施設を活用した開発・実証ができるよう、産業技術センターと艦艇装備研究所との協定締結に向けて、国との調整を進めています。 お示しのように施設の早期活用に対する地元・企業の期待も高まっていることから、一日も早い協定締結に向けて精力的に進めてまいります。 また、協定締結を契機に、水中ロボット関連産業の育成・集積を加速するため、産業技術センターを核としたさらなる支援体制の強化や、県内外の企業・大学のシーズ、ニーズの掘り起こしを進めるとともに、国の事業等も活用しながら開発・実証の取組を支援していきます。 県としては、岩国海洋環境試験評価サテライトの立地という優位性を最大限に生かし、水中ロボット関連産業の育成・集積に積極的に取り組んでまいります。 ○副議長(二木健治君) 和田土木建築部長。    〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 ◎土木建築部長(和田卓君) 資材高騰下における地域資源の有効活用についてのお尋ねにお答えします。 近年、国内外で環境問題への関心が高まる中、持続的に発展することができる経済社会の実現が求められており、バイオマス等を活用した地産地消型エネルギーシステムの構築や地域資源循環の取組を推進することは重要です。 とりわけ、下水汚泥については、地域の有効な資源として高いポテンシャルを有することから、そのリサイクルの推進は、地球温暖化防止や循環型社会の形成等に大きく貢献するものと考えています。 このため、県では、山口県バイオマス活用推進計画に基づき、下水汚泥の再資源化や、汚泥の処理過程で発生するメタンガスのエネルギー利用の取組を進めているところです。 具体的には、下水汚泥については、約八割をセメント原料として、約二割を堆肥として再利用するとともに、メタンガスについては、県内四市の下水処理場において、発電に利用しています。 こうした中、国において、お示しの新たな、バイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、下水汚泥中の有機物のリサイクルについて、堆肥やエネルギー等に利用する割合を増やしていく方針が示されたところです。 この方針を受け、県では、下水汚泥の堆肥化やエネルギー利用等のさらなる促進に取り組むこととしており、今後、国の動向や新技術、先進事例等についての情報収集を行うとともに、担当者会議等の場を通じて、市町との共有を図ってまいります。 また、本県ではセメント原料への資源循環システムが既に確立している一方、堆肥化やエネルギー利用等へ転換するに当たっては、その需要や事業採算性などの課題もあることから、市町や民間事業者の意見も聞きながら、本県の実情に応じた下水汚泥のリサイクルの進め方について検討していく考えです。 県としては、今後とも、市町や民間事業者と連携し、下水汚泥の地域資源としての有効活用に向けた取組を積極的に進めてまいります。    〔和田土木建築部長の発言中、二木副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 ○議長(柳居俊学君) 弘田公安委員長。    〔公安委員長 弘田公君登壇〕 ◎公安委員長(弘田公君) 私は、平成二十五年の十月十四日に公安委員に任命され、三期九年を務めてまいりました。 公安委員就任当時の知事は山本繁太郎であり、高校の同級生でございますが、平成二十六年一月九日に病気のため知事を辞任後、同年三月十五日には六十五歳の若さで逝去されました。 したがいまして、山本前知事が公安委員としての私に何を期待したのか、聞くことはかないませんでした。 ただ、平成二十五年当時、山本前知事の県づくりの基本的な方向性としての、五つの全力の一つが、安心・安全力の確保で、当時の県警察は運営指針の基本姿勢に、県民の期待と信頼に応える警察を掲げておりました。 この運営指針の基本姿勢は、平成二十六年から、県民の期待と信頼に応える強い警察となり、平成二十七年からは、安全・安心な社会の実現をサブタイトルに掲げ、以降、今日に至るまで継続されております。 この九年間の取組状況を振り返りますと、令和三年の数字ではありますが、刑法犯の認知件数が九年前に比べて約六割減少し、交通事故の死亡者が統計を取り始めた昭和二十六年以降最少の三十四人を記録するなど、着実な成果を上げている分野もある一方で、解決しなければならない課題もまだまだございます。 例えば、うそ電話詐欺被害やストーカー、DV等の人身安全関連事案については、依然として高い水準で推移しているほか、交通死亡事故に占める高齢者の割合は高く、いずれも対策は道半ばの状況でございます。 また、急速に拡大するデジタル化社会の安全・安心を確保するために、警察自身もデジタル化を着実に進めていかなければなりません。 加えて、周南警察署をはじめとする、老朽化した警察署の集中的な建て替え整備を進め、警察の活動を支える強靱な基盤をつくっていかなければなりません。 このような課題に対しては、これからも県警察が、組織一丸となって的確に対応していただくことを期待してやみません。 さて、公安委員会制度は、御高承のとおり、警察行政の民主的運営、政治的中立性の確保の目的で導入された行政委員会であります。県においては、県警察を管理するとされております。 私は、当初は面食らいました。具体的には何をどのように管理するんでしょう。当時の県づくりの基本的な方向性と県警察の運営指針の基本姿勢は、本当に公安委員としての視点を示唆してくれておりました。公務というのは、まさに法の支配の確立と公共への奉仕であります。 公安委員会における膨大な範囲にわたります決裁案件、報告を受けます報告案件に対しては意見を述べます。これにつきましても、やはり県民の期待と信頼に応え、安全・安心の確保につながる決裁判断ができるか。あるいは報告されることに対して的確な意見が、相当な意見が言えるかどうか。これをやはり基準として実践することが九年間の私の経験を通じて得た結論でございます。 ちなみに、当初の三年間は、やはり決裁案件も報告案件も、法律あるいは組織の運用実態等について基礎知識を欠いておりますため、法曹出身者であります私から見ましても、とっさに案件を理解できずに、何度戸惑ったことがあるか分かりません。 公安委員の一期三年という期間は、大半の委員が、度々戸惑いながら過ぎていくと感じられるのが実情ではなかろうかと思いますが、公安委員の責務は、決裁判断と意見を述べることにございます。もちろん県警察に相談するわけにはいきません。 今、退任を迎えるこの時点におきましても、公安委員としての責務遂行能力、判断能力、未熟さに恥じ入るばかりでございますが、やはり実践の基準として思ってきたことは合理的であったと思っております。 もう一度言わせていただきますが、やはり必要なことは県民の期待と信頼に応える、安心と安全な社会の実現のための視点でございます。この視点を常に自らの判断基準に置くことができるかどうかということに尽きると今でも思っております。 私は、今後も一県民として、公安委員会制度の発展、警察行政の民主的運営のために陰ながら尽力していきたいと心から思っております。 私がこれから警察に望むことも、まさに、この運営指針の確実な実践にほかなりません。 最後になりましたが、異例の九年間の続投を御承認いただいた村岡知事及び山口県議会のますますの御活躍を祈念いたしまして、答弁を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(柳居俊学君) 畑原勇太君、再質問は、ありませんね。 これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。   ──────────────────────    委員会付託の省略について ○議長(柳居俊学君) ただいま議題となっております議案第十九号の人事案件につきましては、委員会付託を省略したいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(柳居俊学君) 御異議なしと認めます。よって、議案第十九号の人事案件につきましては、委員会付託を省略することに決定をいたしました。   ──────────────────────    表 決 ○議長(柳居俊学君) これより議案第十九号 公安委員会の委員の任命について同意を求めるの件を採決いたします。 本件は、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕 ○議長(柳居俊学君) 起立全員であります。よって、議案第十九号 公安委員会の委員の任命につきまして同意を求めるの件は、これに同意することに決定をいたしました。   ───────────── △日程第三意見書案第一号から第三号まで ○議長(柳居俊学君) 日程第三、意見書案第一号 台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)参加を積極的に支援するよう求める意見書、意見書案第二号 駐留軍関係離職者等臨時措置法の期限延長に関する意見書、意見書案第三号 私学助成制度の充実強化に関する意見書を議題といたします。 意見書案は、お手元に配付のとおりでございます。   ──────────────────────    提出者の説明の省略について ○議長(柳居俊学君) 意見書案につきましては、提案理由の説明を省略をしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(柳居俊学君) 御異議なしと認めます。よって、意見書案につきましては、提案理由の説明を省略することに決定をいたしました。   ──────────────────────    委員会付託 ○議長(柳居俊学君) これより委員会付託を行います。 議案第一号から第十二号まで及び意見書案第一号から第三号までをそれぞれの所管の常任委員会に付託をいたします。 今期定例会において受理した請願は一件であります。これをお手元に配付の請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託をいたします。   ──────────────────────    委員会審査の期限について ○議長(柳居俊学君) ただいま常任委員会に付託をいたしました議案、意見書案及び請願につきましては、十月六日までに審査を終えるよう期限をつけることにしたいと思います。これに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(柳居俊学君) 御異議なしと認めます。よって、議案、意見書案及び請願につきましては、十月六日までに審査を終わるよう期限をつけることに決定をいたしました。   ───────────── ○議長(柳居俊学君) 以上をもって、本日の日程は全て終了をいたしました。 本日は、これをもって散会といたします。御苦労さまでした。    午後一時五十一分散会   ─────────────     地方自治法第百二十三条第二項の規定によりここに署名する。             山口県議会 議     長   柳   居   俊   学                   副  議  長   二   木   健   治                   会議録署名議員   高   井   智   子                   会議録署名議員   小 田 村   克   彦...